ダックとディーゼル機関車 | 汽車のえほん 第13巻 | 絵本朗読 読み聞かせ – チャンシーCHANSHI

出典:YouTube / チャンシーCHANSHI

ダックとディーゼル機関車

読者のみなさんへ

ふとっちょの局長の鉄道に、2だいのお客がやってきました。

1だいは、シティ・オブ・トルーローといって、たいへんゆうめいな機関車です。

シティ・オブ・トルーローがかえるときには、みんながわかれをおしみました。

ところが、もう1だいの機関車は大ちがい。

ふとっちょの局長も、

「ディーゼル機関車がみんなやっかいものだとは思わないが、このディーゼルは、わたしの機関車たちをすっかりおこらせてしまった。

ダックなどは、さんざんな目にあわされたからな」

と、いったほどなのです。

著者 ウィルバート・オードリー

「ドームのない機関車」
というお話

ある日、とくべつ列車がやってきた。

ふとっちょの局長は大かんげいだ。

列車をおりたひとたちは、操車場をみてまわったり、機関車のしゃしんをとったりした。

ダックの機関士は、そのうちのなんにんかを、キャブにのせてあげた。

「鉄道ファンクラブのひとたちだって。ぼくたちをみにきたんだ」

機関士はダックにいった。

「とくべつ列車をひいてきたのが、シティ・オブ・トルーローだよ。じそく100マイル※をはじめてだした機関車なんだ」

※1マイルは、約1.6キロメートル。100マイルは、時速160キロをこえるスピードではしったことになる。

「はやくしごとをおわらせて、あいさつにいこうじゃないか」

「ほんとうですか!でも、ぼくなんかにはえらすぎますよ」

ダックがたじろいでいった。

「そんなことないさ。さあ、いこう」

シティ・オブ・トルーローは、石炭をつみこんでいた。

「おはなししてもいいでしょうか」

ダックがもじもじしながらこえをかけた。

「ああ、いいとも。きみもぼくとおなじ、大西部鉄道にいたんだね」

「そうなんです。ここのみんなにも、大西部鉄道のやりかたをおしえようとしているんです」

「ああ、れいの『しごとはみんなきちんと』ってやつだね」

「よろしければ、あなたが南西部鉄道を負かしたときのことをはなしてくださいませんか?」

そこでシティ・オブ・トルーローは、50年いじょうまえの、プリマスからブリストルまでのゆうめいなきょうそうについてはなした。

2だいはすぐになかよくなり、大西部鉄道の話しは、よるおそくまでつづいた。

シティ・オブ・トルーローは、よくあさはやくに、かえった。

「ああ、せいせいした。ひとばんじゅうぺちゃくちゃしゃべって、みんなをねかせないなんて。あいつはなにものなんだい?」

ぶつぶついうゴードンに、ダックがこたえた。

「あれがシティ・オブ・トルーロー、ゆうめいな機関車だよ」

「くだらない!おれさまほどじゃあないんだろう」

「きみとはくらべものにならないほどゆうめいだよ。きみがうまれるまえから、じそく100マイルではしっていたんだからね」

「ふん、そうかい。でも、おれさまはあいつのみためがきにくわないね。あいつにはドーム※がないじゃないか」

※ドーム…ボイラーのうえについている、半球型やつりがね型の部分。このなかに、蒸気があつめられる。

「ドームのない機関車など、しんようできんし、だいいち、ひんがない。

じまんじゃないがおれさまなら、じそく100マイルくらいなんでもないさ。

じゃあ、あばよ!」

そのあと、ダックが、貨車をひいて、エドワードの駅にやってきた。

ダックは、ゴードンがシティ・オブ・トルーローをわるくいったことを、まだおこっていた。

おかげで、貨車たちはいたずらをしようとしなかった。

エドワードが、こえをかけた。

「やあ、ダック!けさ、シティ・オブ・トルーローがとおったよ。しかも、汽笛であいさつしてくれたよ。いい機関車だね」

「ああ、せかいいちすてきな機関車さ」

ダックは、シティ・オブ・トルーローのことやゴードンがいったことまでエドワードにはなした。

「きにするなよ、ダック。ゴードンはやきもちをやいているんだ。じぶんよりゆうめいな機関車がいるのが、おもしろくないのさ。

ほら、ゴードンがはしってくるよ」

ゴードンが、ものすごいスピードではしってきた。

ゴードンのかまは、これまでになく大きくふくれてみえた。

車輪ははずみ、ボディもはげしくゆれていた。

「あいつにできて、おれさまにできないはずがない!」

そういいながら、ゴードンは、ロケットのようにかけぬけていった。

エドワードはくすくすわらって、ダックに目くばせした。

「ゴードンは、シティ・オブ・トルーローのまねをしているんだよ」

ダックは、まだきげんがなおらない。

「あんなにとばすと、ばらばらになっちゃうぞ。とおりすぎるとき、なにかガラガラヘんなおとがきこえたからなあ」

「おちつけ、ゴードン。きょうそうをしているんじゃないんだぞ」

機関士は、ゴードンにこえをかけた。

「いや、これはきょうそうなんだ」

ゴードンは、じぶんじしんにいいきかせた。

「ゴードンが、こんならんぼうにつっばしるのははじめてだ」

機関士がいった。

助手はブレーキハンドルをしっかりにぎって、ふりおとされないようにしていた。

「ゴードンのやつ、まったくむちゃしてるよ」

そのうち、ゴードンはすこしきぶんがわるくなってきた。

「かまのてっぺんがむずむずする。なにかゆるんでいるのかな。スピードをおとしたほうがよさそうだ」

しかしきづいたときは、もうおそかった!

ゴードンが陸橋にさしかかったとき、風がふいてきた。

それは、しずかな風でも、はげしくふきつづける風でもなく、とつぜんばっとふいうちをくわせるような、いたずらな風だったのだ。

ゴードンにはその風が、まるでじぶんを橋からつきおとそうとしているようにおもえた。

そこで、

「ぜったいそうはさせないぞ」

と、ふんばった。

ところが風のかんがえはちがった。

かまのまわりでうずをまき、ゆるんだドームのしたにしのびこんでドームをふきあげると、谷底にふきとばしてしまった。

ドームは、カラカラカラーンとおとをたてながら、いわのうえにおちた。

ゴードンのきぶんはさいあくだった。

ドームのとれたあなはすかすかするし、みんながゴードンをみて、わらうのだ。

大きな駅では、ドームをなくしたゴードンをみようと、ひとびとがあつまってきた。

ゴードンはシューシューと蒸気をふきだして、おいはらおうとしたが、むだだった。

かえりみち、ゴードンは、列車をとめてドームをさがしてほしかったのだが、機関士は列車をとめてくれない。

ゴードンはすっかりふきげんになった。

せめて機関庫にはだれもいなければいいとおもったが、みんなまっていた。

そしてどこからか、こえがきこえてきた。

「ドームのない機関車なんてしんようできんし、だいいち、ひんがないよ」

「ディーゼル機関車のディーゼル」
というお話

シティ・オブ・トルーローがやってきて、ダックはますます大西部鉄道のじまんをするようになった。

でも、しごとはきちんとこなしていたので、すべてが時計仕掛けのようにうまくいった。

貨車はぎょうぎよく、客車は時間どおりにそろい、お客ももんくをいわなくなった。

ところが、ほかの機関車たちは、そのぶんいそがしくなったので、おもしろくない。

そんな機関車たちに、ダックはいった。

「しごとのやりかたにはふたつあるんだ。大西部鉄道のやりかたと、まちがったやりかたさ。ぼくは、大西部鉄道の機関車だから……」

「わかってるよ!」

みんなうんざりだ。だから、あたらしい機関車がやってきたときには、うれしくなってしまった。

あたらしい機関車は、ゴロゴロのどをならしてやってきた。

ふとっちょの局長がなかからおりてきた。

「しょくん、こちらはディーゼルだ。ためしにはたらいてもらうことにした。

ディーゼルはまだわからないことがおおいから、よくおしえてやってくれたまえ、ダック」

「おはよう」

ディーゼルは猫撫で声でいった。

「はじめまして、ダック。……あっ、あれはジェームスかい?あれはヘンリーだろう?それに、あっちはゴードン、ちがうかい?

こんなゆうめいな機関車にあえて、うれしいなあ」

そして、ディーゼルは、ゴロゴロのどをならした。

機関車たちは、おせじをいわれてとくいになっている。

「なかなかれいぎただしいやつだ。よろこんでむかえてやろう」

でも、ダックは、あやしいとおもっていた。

「ディーゼル、いこう」

と、ダックが、そっけなくいった。

「ああ、操車場だね。もちろん。じゃあ、みなさんしつれいしまーす」

ディーゼルは、ダックのうしろから、はなしかけた。

「あのふとっちょの……」

「きみ、なれなれしいぞ。トップハム・ハットきょうとよびたまえ」

ダックがいうと、ディーゼルはむっとしていいなおした。

「トップハム・ハットきょうは、おれにわからないことがおおいとおもっているようだけど、大まちがいさ。

ディーゼル機関車はなんでもしっているから、べんきょうもひつようない。操車場へいってそこをかいぜんするのさ。

ディーゼル機関車は『革命的』なんだ」

「へえ!きみがその『革なんとか』なら、ぼくがゴードンの客車をそろえているうちに、貨車をあつめておいてくれるよね」

ディーゼルはいいところをみせようと、ゴロゴロのどをならしてでていった。

ズシーン、ガシャーンとぶつけながら貨車をつないでいった。

ダックが、ゴードンの客車を駅において、もどってきた。

そのときディーゼルは、ちかくのひきこみ線から貨車をなんだいかひっばりだそうとしていた。

ふるくてからっぽで、ながいあいだほうっておかれた貨車だ。

貨車のブレーキがどうしてもうまくはずれないので、なかなかうごかすことができない。

ディーゼルが、おしたりひいたりするたびに、貨車たちは、

「おお、いたい!おお、いやだ!」

とうめきごえをあげた。

ダックは、どうなることかとみまもっていた。

「グルルルル……」

こらえきれなくなったディーゼルがうなりながらひっばると、貨車たちは、ひめいをあげた。

「うひゃー、いたいじゃないか!やめてくれ!」

貨車たちのブレーキがこわれ、ぶらさがったギアが、線路とまくら木にぶつかった。

「いたいじゃないか!やめてくれ!あーーー!」

ひきずっていたブレーキが、ポイントにひっかかり、とうとう貨車はうごけなくなってしまった。

「グルルル、グルルル、グルルルル……」

ディーゼルは、おそろしいうなりごえをあげてひっばった。

そのひょうしにさびたれんけつきがちぎれて、ディーゼルはじぶんだけすぽんとまえにとびだした。

ダックは、

「あっはっは」

と、わらった。

ディーゼルは、こんどはおしてみたが、貨車はもちろんうごかない。とうとうあきらめるしかなくなってしまった。

ダックは、ディーゼルがさきにそろえておいた貨車のところにいって、いった。

「ありがとう、ディーゼル。この貨車、もらっていくね」

「あれ、こっちの貨車はいらないのかい?」

「ああ、いらないよ」

「おれがこんなにくろうしたのに。なぜ、おしえてくれなかったんだ!」

ディーゼルは、おもわずかんだかいこえでさけんだ。

「おや、きみはなんでもしっているんじゃなかったのかい?『革なんとか』だっていばっていたじゃないか。じゃあね」

ディーゼルは、あとかたづけをするさぎょういんをてつだわなければならない。

ディーゼルは、いやいやはたらいた。貨車も客車も、みんなわらっていた。

そのうちに、うたまできこえてきた。

うたごえはだんだんたかくなり、やがて、操車場いっばいにひびきわたった。

「♪貨車待つ操車場で、いいとこみせようと、らくらくくみつく、うぬぼれディーゼル。

黒イタチみたく、こそこそうごく。間違った貨車引き、グルルーととびだす♪♪」

「グルルルル……」

うなりながらディーゼルは、あわててにげていった。そして、機関庫のなかでふくれていた。

「ディーゼルのわるだくみ」
というお話

ダックがかえってくると、貨車たちがうたっていたので、おどろいた。

「だまれ!」

と、ダックは貨車たちにたいあたりした。

「貨車のぎょうぎがわるくてすまないね、ディーゼル」

ディーゼルのいかりはおさまらない。

「おまえのせいだ!おれを貨車たちのわらいものにしたのは、おまえじゃないか!」

これをきいたヘンリーがいった。

「まさか!ダックがそんなことをするものか。ぼくたち機関車は、違いはあるけれど、貨車たちにつげぐちなんてしないよ。そんなことは……」

「はずかしいことだよ」
と、ゴードン。

「はしたないことだよ」
と、ジェームス。

「はじしらずなことだよ」
と、さいごにヘンリーがいった。

ディーゼルは、ダックが大きらいだ。なんとかしてダックをおいはらおうと、あることをかんがえついた。

つぎの日、ディーゼルは、貨車たちに猫撫で声でいった。

「きみたち、きのうは、ずいぶんからかってくれたじゃないか。ぼくもおもいっきりわらったよ。

ところで、ダックからきいたんだけど、ゴードンったら……。

これはゴードンにはないしょだよ」

ディーゼルは、にやりとわらって、いってしまった。

「わっはっは。ゴードンがきいたらおこるぞ。よし、このことをゴードンにつげぐちして、ダックをこまらせてやろう。きのうダックにたいあたりされた、しかえしだ」

貨車たちは、げらげらわらいながらいった。

ディーゼルは、あちこちのひきこみ線にいって、ダックからきいたといっては、でたらめなことをいいふらした。

もちろんダックはほんとうはなにもいっていないが、貨車たちにわかるはずがない。

ゴードンや、ヘンリーや、ジェームスがとおると、貨車たちがげらげらわらった。3だいの機関車には、すぐにこのりゆうがわかった。

「はずかしいことだ」
と、ゴードン。

「はしたないことだ」
と、ジェームス。

「はじしらずなことだ。ゆるせない!」
と、ヘンリーがいった。

そこで、3だいはそうだんした。

「そうだ。あいつがやったんだから、こっちもやりかえそう」

ダックはつかれきっていた。なまいきで、いうことをきかない貨車たちをぎょうぎよくさせるのはたいへんだ。

ダックは、機関庫ですこしやすもうとおもった。

「シュー!こっちにくるな!」

ゴードンと、ヘンリーと、ジェームスが、ダックにとおせんぼをした。

ディーゼルは、3だいのうしろにかくれていた。

「ばかなまねはよせ。ぼくはつかれてるんだ」

「ふん、こっちだっておまえにはうんざりだよ。おまえなんかだいきらい、ディーゼルのほうがまだましだ。貨車にぼくたちのわるぐちをいいふらして」

「そんなこというもんか」

「いったじゃないか」

「いわないよ」

「いった!」

ふとっちょの局長が、さわぎをとめにやってきた。

「ダックが、おれさまを”すっとびソーセージ”なんていうんです」

と、ゴードンがはやくちでまくしたてた。

「ぼくは”赤さびのふる鉄”だって」

と、ジェームス。

「ぼくなんて”おんぼろのしかくあし”だ」

と、ヘンリー。

「どうなんだ、ダック?」

ダックは、すこしかんがえてからいった。

「あの、局長さん。ソーセージやふる鉄なんてことば、ぼくにはおもいつきません」

「オッホン!」

ふとっちょの局長がせきばらいをした。

「ダックは、ぼくたちを貨車のわらいものにしたんです」

3だいは、くちをそろえていった。

「ほんとうかね、ダック」

ふとっちょの局長にきかれて、ダックはこたえた。

「とんでもありません、局長さん。蒸気機関車ともあろうものが、そんなひきょうなことをするものですか」

「ディーゼル、きみはダックのいったことをどうおもうかね?」

「さあわかりません、局長さん。それにしてもダックが……。ざんねんながら、わたしはなにもしらないんです、局長さん」

「そうか、わかった」

局長のことばに、ディーゼルはおもわずびくびくした。

「ダック、きのどくだが、しばらくのあいだ、エドワードの駅にいきたまえ。エドワードは、きっときみにあえてよろこぶよ」

「え、あの、局長さん、いますぐいけとおっしゃるのですか」

「ああ、そうしてくれたまえ」

「それでは、おっしゃるとおりにいたします」

ダックはしょんぼりはしっていった。

機関庫のくらがりでは、かちほこったディーゼルが、にやにやわらっていた。

「ダック、とこやさんへいく」
というお話

そういうわけで、ダックは、エドワードの駅にやってきた。

「ひどいはなしだよ。ふとっちょの局長や、機関車たちに、ぼくがいやなやつだとおもいこませたのは、ディーゼルなんだ」

ダックがいうと、エドワードはにこにこしてこたえた。

「きみがそんなやつじゃないってことをぼくはしっているし、ふとっちょの局長だっておなじだよ。まあ、みててごらん」

ダックはエドワードといっしょにいて、しあわせだった。

ダックは、エドワードのしごとをてつだったり、よそからきた機関車が列車をひいておかをのぼるのを、うしろからおしてやったりした。

でも、ゴードンと、ヘンリーと、ジェームスは、ダックとはひとこともくちをきかなかった。

ある日、ダックは貨物列車をてつだって、おかのてっぺんまでおしていってあげた。

「ピッピー、じゃあね!」

ダックはこういうと、ゆっくりとくだり線にうつった。

ダックは、ヒューヒュー風をきって、なめらかにおかをかけおりるのが大すきだ。

つい、はなうたをうたった。

「ピーッ、ピーッ、ピーッ!」

「あれ、車しょうのふえかな?でも、車しょうはのっていないぞ」

ダックも機関士もふしぎにおもった。そして、うしろをふりかえった。

「ダック、いそげ、いそぐんだ!」

と、機関士がさけんだ。

「脱走した貨車がおいかけてくるぞ!」

にもつをいっばいつんだ20だいの貨車が、おいかけてきた。

「やった、やった!脱走だ!脱走だ!」

信号係がポイントをきりかえないうちに、貨車たちは、ダックのあとにつづいて、くだり線にはいってきたのだ。

「おいかけろ!ぶつけるぞ!はねとばせ!」

貨車たちは、くちぐちにさけびながら、ぐんぐんスピードをあげて、ダックにむかってとっしんしてきた。

ブレーキ車からふりおとされた車しょうは、おきあがっておいかけながら、きけんをしらせるふえをふいた。

そのふえが、ダックたちにきこえたというわけだ。

「さあ、どうしますか?」

と、助手が機関士にたずねた。

「できるだけつっぱしるんだ。すぐにはおいつかないはずだ」

ダックははげしく汽笛をならしながら、エドワードの駅をかけぬけた。

それでも、貨車たちはとうとうおいついて、ガシャーンとぶつかってきた。

助手はいそいでブレーキ車にとびうつり、ブレーキ車のブレーキをひっぱった。

キキキキキーッ!

機関士も、ちゅういぶかくダックのブレーキをかけながら、ぼうそうをおさえにかかった。

「あと1マイルいくうちには、とめられるぞ」

ところがカーブをまがったとたん、機関士がさけんだ。

「なんてこった、あれをみろ!」

前方の駅から、お客をのせた列車が、出発するところがみえたのだ。

機関士は、ぎゃくてんきにとびついた。

ギアをバックにいれ、蒸気をいっばいにひらき、汽笛をならした。

「ダック、あとはたのんだぞ!」

機関士がさけんだ。

ダックは、ありったけの力をふりしぼって、貨車をおさえようとした。

「それいけ!それいけ!」

貨車たちは、大ごえをあげながらおしてくるが、ダックもひっしだ。

「とめなくちゃ。なんとしてでもとめなくちゃ」

駅はぐんぐんちかづいてきた。まえの列車のさいごの客車が、プラットホームをでていくところだ。

「もうだめだ……」

そういうと、ダックは目をつぶった。

すると、とつぜんむきがかわり、ダックは、うめきごえをあげながら、たいひ線にすべりこんでいった。

操車場のすみには床屋があり、ちょうど、お客のひげをそっているところだった。

ガシャーン!バリバリバリ……!

木のかべに穴があき、そこからダックがかおをだした。

お客はおどろいてとびあがったが、床屋はお客をおしもどすと、

「ただの機関車ですよ」

といって、お客のかおにせっけんのあわをぬりつづけた。

「すみません。とつぜん、とびこんじゃったりして」

ダックは、ふうふういいながらあやまった。

「いや、ゆるすもんか。お客さんをおどかしたうえに、ぬりたてのかべをだいなしにしたんだ。ええい、こうしてやる」

おこった床屋は、ダックのかおじゅうにせっけんのあわをぬりつけた。

かわいそうなダック!

ふとっちょの局長がやってきたときには、貨車のあとかたづけがはじまっていた。

さぎょういんにもんくをいっていた床屋は、こんどはふとっちょの局長のところへとんできた。

「機関車がみせのかべをやぶってとびこむなんて、まったくひどいじゃありませんか。お客さんにもいいめいわくですよ」

「あなたのきもちはよくわかる。こわれたところはすっかりなおしましょう。

でも、あなたもわかってもらいたい。

ダックと、ダックの乗務員たちのおかげで、たいへんなことになるのをふせぐことができたのです」

ふとっちょの局長は、いかにもかんしんしたようすで、こうつけくわえた。

「まさに、剃刀の刃をわたるような、危機一髪のじこだったんですぞ」

「おや、そうだったんですか。それはもうしわけなかった」

床屋はみせにかけこみ、せんめんきにみずをいれてくると、ダックのかおをあらいはじめた。

「ダック、わるかったね。きみがゆうかんな機関車だったなんて、ちっともしらなかったんだ」

「いいんですよ、床屋さん。ぼくだって、ちっともしらなかったんですから」

「ほんとうにりっばだった。きみは、わが鉄道のほこりだ。こんど、シティ・オブ・トルーローがきたら、きみのことをはなさないといかんな」

と、ふとっちょの局長もいった。

「ありがとうございます!」

ダックは、こんなにしあわせなきぶんになったのは、ひさしぶりだ。

「さて、ダック。しゅうりがすんだら、うちへかえってきたまえ」

「うちですって?みんなのいる操車場のことですか?」

「もちろんだとも」

「でも局長さん、みんなはぼくがきらいなんです。ディーゼルのほうがすきなんですよ」

「いや、いまはちがう。ディーゼルのことなど、わたしはもともとしんようしていなかった。

きみがいなくなったあと、ディーゼルは、こんどはヘンリーのことでうそをついたんだ。だからやめさせたよ。

みんなきみにもどってきてほしいといっているぞ」

それから2、3日たつと、あたらしいペンキでぴかぴかになったダックが、操車場にもどってきた。

みんなは大かんせいをあげて、大西部鉄道の機関車ダックをむかえた。

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きかんしゃトーマス動画情報

タイトルダックとディーゼル機関車 | 汽車のえほん 第13巻 | 絵本朗読 読み聞かせ
説明文大人気絵本シリーズ第13巻!ふとっちょの局長の鉄道に、ディーゼル機関車のディーゼルがやってきました。ところがディーゼルは、みんなをこまらせてばかりです。イギリスで初めてこの絵本シリーズの第一巻が出版さ...
公開日時2021-10-03 20:00:25
長さ28:17
再生回数371
チャンネル名チャンシーCHANSHI

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